相性のいい椅子探しのポイント!使うほどに体にフィットする「ペーパーコード座面」とは?
こんにちは。
インテリアコーディネーターの安達剛士です。
前回、椅子との相性に欠かせないポイントを3つご紹介しました。
<前回の記事>
椅子と自分の相性をはかる3つのポイント
①背もたれのあたり心地(※前回ご紹介済)
②お尻のフィット感
③大腿部のあたり具合と足裏の接地具合
椅子って本当にいろいろなデザインがありますよね?
選ぶ人の人数と掛け合わせると、数限りないパターン数が存在します。
体格差もあったり、ひとりひとりの好みもあるので、座り心地の相性の良い椅子選びって意外と難しいものです。
今回もそんな椅子との相性診断のお話、「②お尻のフィット感」について解説します。
長く座って気づく相性
少し専門的なお話になりますが、皆さんは家具デザインの基本となる「人間工学」という言葉をご存知でしょうか?
人間が自然な動きができるように物や環境をデザインする学問です。「椅子」は特に人が直接座って体重を掛けて使うため、他のものより一層使う人との相性が生まれやすい家具といえます。
まず、人の身体には、「座骨結節点」というポイントがあります。
お尻に手のひらを当てたまま座ってみると、両手にそれぞれお尻の骨の尖った部分を感じることができると思います。それが「座骨結節点」です。
座骨結節点が座面と当たる位置が体圧を受ける中心部分となり、その体圧がどう分散されるかによって、椅子との相性が生まれるのです。
「長時間座っているとお尻が痛くなってしまう。」そんな悩みを持つ方も多くいらっしゃると思います。
実は私もそのひとり。ただこれって、椅子を選ぶときに一瞬座っただけではなかなか気づきにくい相性です。
できる限り長く座って試してみる。椅子選びにとってこれがとても大事なポイントです。
座面の種類もいろいろあるけど・・・
椅子の座面にはいろいろなタイプがありますが、大きく分けて、「板座」、「クッション」、「それ以外」に分けることができます。
イメージ的には、クッションの入ったタイプがフィットしやすく、お尻も痛くなりにくい印象を受けますよね。
ただ、クッションの素材や厚みの違いによって硬さもさまざまであり、そこに感じる好みもさまざまです。
ちなみにクッションの寿命は、使用環境によっても異なりますが、3年〜8年程度と言われることが多いです。
板座のものでもクッションを敷くことで硬さを和らげることができ、お尻のフィット感をカスタマイズすることもできます。
先ほど「それ以外」」に分類したタイプの中で、ここで一つご紹介したいのが「ペーパーコード座面」です。
ペーパーコード座面とは?
北欧チェアで目にすることの多いこのタイプ。
もともとは1940年台の物資が乏しかった時代に、農作物などを束ねるために使っていた紙紐を椅子の座面に用いたことに始まります。
樹脂を浸透させ撚った紙を、複数本束ねてさらに撚りを掛けることで高い強度を誇り、耐久性も一般的に10〜15年と言われています。
長い寿命もさることながら、使い込んでいくうちにコードが馴染み、体型にフィットしていくという大きな魅力があります。
私も実際に10年に渡ってペーパーコードの椅子を愛用していますが、この椅子と出会ったことでお尻が痛くなる悩みが解決されました。
無印良品でもペーパーコードの椅子が発売されるなど、日本でもペーパーコードチェアは浸透していっています。
【無印良品オンラインストア】
ぜひお店で見かけた際には、座り心地を体感してみてください。
とにかく、座面との相性をはかるにはいろいろなタイプの椅子に座ってみること。それも長時間座ってみることが重要です。
座った瞬間には心地よくても、時間が経つにつれて段々とバランスが崩れてきたり、お尻のハマりがしっくりといかなくなってくる椅子もあります。お尻を支える座面にとって、座り心地を維持する耐久性もとても大切なポイントになります。
いくら高級で高品質な椅子にも消耗はあります。そんな場合でも座面の張替えなどケアをすることで、長く使い続けることができます。使っている道具に気を配ることは、結果的に自分へのケアにもつながっていくのです。
さて、次回は「椅子と自分の相性をはかる3つのポイント」の最終章。
3つ目のポイント「③大腿部のあたり具合と足裏の接地具合」について解説します。ぜひお楽しみに。
foglia(フォーリア)は山陰・米子を拠点にインテリア・家具の魅力を発信しています。